素材は最高なのに、何か物足りない。それが読み終わった率直な感想ですね。
事務所社長の借金で半ば強制的にAV出演させられる売れっ子俳優と、ベテランAV男優との関係性が核になる話なんですけど、これが本当に「もう一声」の連続なんです。設定だけ見るとグイグイ引き込まれるんですよ。プライドを傷つけられた俳優がAV業界で現実と向き合うプロセス、その中で初体験を迎えることになる相手との距離感の縮まり方……こういう要素は光ってる。でも話が進むにつれて「あ、ここで深掘りするんだ」と期待したシーンが意外とサッサと流れていく。攻めの葛藤も受けの心の動きも、もう一段階掘り下げてほしかった。エロシーンもあるんですけど、感情と完全には結びついてないというか、「ビジネスから感情へ」っていう転換の説得力がもう一ヒネリ足りない感じです。
浅井西さんの他作品と比べると、この人は本来もっと関係性に時間をかける作家だと思うんです。もしかしたらページ数の制限があったのかな、という勘ぐりもしてしまう。41ページって限られた枠組みの中で、よくこれだけ詰め込んだなっていう評価はできるんですけど(ニート褒めるとこ見つける才能😁)、逆に言えば詰め込みすぎて呼吸が浅くなってる感じもあるんですよね。
ここからが正直なとこなんですが、同じ「俳優とAV男優」というテーマで書かれた短編BLと比べると、この作品はキャラの背景描写で勝ってるけど、二人の相互理解の深さでは若干劣ってる。職業BL好きなら「あ、このテーマ面白いな」くらいで手に取るレベルですが、浅井西ファンなら「いつもこの人はもっと心理描写入ってたのに」ってちょっと物足りなく感じる可能性あります。ボリュームと内容のバランス的に、セール時の購入なら◎ですが、通常価格だと同じ金額で他の短編集買ったほうが満足度高い気がします。正直な判定は【条件付き】。設定勝負のエロ重視BLが好き、もしくは浅井西の全作品制覇したい人だけ買う感じで。期待値を下げて読めば悪くはないんですけど、ニート的に貴重なお金を使うなら別の選択肢も検討していい作品です。
作家: 浅井西
ジャンル:
単行本 恋愛 ラブコメ





