いや、ちょっと待って。これ、ここまで来るんですか。普通に傑作です。
「偏屈小説家は恋に色づく」は読んだ直後から頭が離れません。冷静に批評するつもりでレビュー書いてたんですけど、途中で諦めました。戻ってきた今でも無理です。就活より真剣にこの作品のことばかり考えてます😂
**■ 核となる関係性の絶妙さ**
本作の軸は、小説家・坂部と出版社の編集者・駒崎という二人の男の関係です。坂部は才能はあるけど頑固で対外的には面倒くさい。駒崎はそんな坂部の執筆をサポートする編集者。この二人の距離感がね。最高です。
表面上は仕事関係でしかないのに、互いに相手にしか見えてないあの空気感。駒崎が坂部の原稿に向き合う姿勢、坂部がわずかな表情の変化で駒崎を翻弄する様子。その心理戦を追うだけで十分に面白い。でもやん先生はそこで止まりません。
二人の距離を詰めるプロセスの丁寧さ、そしてエロシーンへの持っていき方が自然すぎて怖いんですよ。眼鏡という要素で坂部の印象が変わる場面があるんですが、その視線の交わし方、坂部の表情が柔らかくなっていく描き分けが本当に天才的。各コマでの指先の動きまで含めて、「距離が縮まってる」を感覚的に理解させてくる。
**■ エロシーンが物語の「当然の帰結」になってる**
やん先生は「関係性を感情の延長で描く」という基本を完璧に理解している作家です。同ジャンルの他作品でよくあるのが、エロシーンだけ浮いてるパターン。設定と感情の繋がりがないから、読んでても「ここからエロなんだ感」が出ちゃう。
でも本作は違う。プロット全体が二人の距離が縮まることを目的に構成されていて、結果としてのエロシーンが「当然の帰結」として立ち上がってる。後半のアナル描写も、ただのエロじゃなくて「この二人だからこの展開なんだ」って納得させる説得力がある。着エロという要素も、キャラの弱さが引き出される演出として有機的に機能してる。全部が繋がってるんですよ。
**■ サンプルでは分からない「推し付け方」の鬼畜さ**
サンプルだと序盤の関係構築までで止まってるはずなんですが、本編後半の追い詰め方がヤバいです。駒崎が坂部に見せる行動、その一つ一つが「あ、こいつ本気だ」感を与えてくる。そして坂部が自分の気持ちを認識していく過程。その心理描写がセリフにも表情にも細かいディテールにも丁寧に描かれているから、読んでてしんどい。いい意味で😂
この「推しが相手を追い詰める」感覚は、サンプルだけじゃ絶対に伝わりません。本編の方が圧倒的に濃い。
**■ 同ジャンル比較で見た位置づけ**
インテリ系攻め×出版関係者という設定は他作品にも存在するんですが、本作ほどキャラの掘り下げと関係性の複雑さを両立させた作品は稀です。設定で勝負してるんじゃなくて、二人の呼吸の合わせ方、目と目の交わり方で勝負してる。だから何度読んでも「あ、このコマでのコイツらの視線」で新しい発見がある。
年下攻め好きはもちろん、「恋愛サスペンスとしてのBL」を求めてる層にも強くおすすめ。攻め側が一見強そうに見えて、実は受け側に揺さぶられてるという逆転感も秀逸。受け側が受動的じゃなく能動的に相手を動かしてるんですよ。その構図だけで沼です。
**■ 実務的な説得力も上乗せ**
ニートの私が言うのもなんですが、出版業界の知識も随所に混ざってて、世界観を説得力あるものにしてます。小説家と編集者という関係だから、作品を通じてお互いを理解していく過程が単なるラブストーリーじゃなくて、職業エンタメとしても成立してる。だからこそ「仕事場での緊張感」と「プライベートでの甘さ」の落差が本気でヤバいんですよ。
電子限定描き下ろし特装版という触れ込みについても、追加要素の使い方が秀逸です。本編で描かれた関係性をより深掘りする内容になっていて、「あ、これがあるから本編が活きるんだ」って感じさせる。単なる商売文句ではなく、実際に読者体験を豊かにしてる。86ページと決して長くないのに何度も読み返させられるのは、この密度の高さと各シーンの情報量がえげつないからなんでしょう。
**■ 判定と注意点**
ここまで好評ばかり書いてますが、念のため注意点も。攻め側が終始優位とは言いませんが、「受けが一方的に翻弄される」という構図が好きな層には向きません。相互作用する関係性を求めてる人向けです。また、ボリュームは短編なので、長編で腰を据えて読みたい人には物足りなく感じるかもしれません。
でも「短いからこそ濃い」というのが本作の強み。再読性も高いし、定価でも十分買う価値があります。むしろセール待つ意味がない。やん先生の新作が出るたびに、ハロワ行く前にFANZA開くような生活してる私から言わせると、本作は「この作家さんに何度でも金払う理由」を改めて実感させてくれた1冊です。
冷笑的なニートキャラ保とうと思ってたけど、もう無理です。普通に尊敬してます。
**【買い】です。正当な高評価。絶対。**🙏
作家: やん
ジャンル:
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