483ページの大ボリュームなんですけど、甘さと疾走感が同時に存在してるっていう、けっこうバランス取るの難しい作品だと思いました。ミルククラウンというモチーフを恋愛ストーリーに昇華させるセンスは正直上手い。このシリーズの作家さん、話の組み立てに人一倍工夫してる人なんだなっていうのが伝わってきます。
ここからが本題なんですけど、この作品の最大の魅力は「ふたりの関係性の段階的な変化」の見せ方ですね。最初のぎこちなさから距離が縮まっていくまでのプロセスで、コマ割りと表情の使い方がめちゃくちゃ計算されてる。攻めの強気な態度の根底にある不安定さ、受けの従順に見える行動が実は本人の主体的な選択だったとか、そういう微妙なレイヤーが後半に一気に集約されるんですよ。483ページあるからこそ、キャラクターの内面を本当に丁寧に掘り下げる余裕があるのが大きい。エロシーンも感情の延長として機能してるし、ただ脱がせるだけの作品とはレベルが違う。背景描写や日常の描き込みも申し分なくて、二人の時間軸がちゃんと流れてる感覚がある。
まさき茉生の過去作何冊か読んでるんですけど、本作は「関係性に注力する」という作家の持ち味が最も安定して発揮されてる出来だと感じました。ただし正直に言うと、前作と比べるとストーリー展開にもう少し工夫が欲しい場面があるんですよ。中盤の山場の作り方が、ちょっと駆け足気味というか。その部分だけは「あ、ここスキップしてもいいな」って思ったレベルです。でもキャラクター造形の深さはむしろ上回ってるので、そこは帳消しになる。
サンプルだと絶対に気づかないポイントが後半に隠れてるんです。攻めのバックグラウンドが明かされるんですけど、そこからの二人の関係性の「再解釈」が本当に秀逸で。あと終盤のあのシーンね——受けが初めて見せる「素の顔」というか、これまで受けが積み重ねてきた「相手のためのキャラクター」がほんの一瞬剥がれ落ちて、ふたりの力関係がパッと反転する瞬間があるんですけど、その1コマの表現が丁寧すぎてですね😂。何度も読み返してしまいました。ニートの暇つぶしとしてはこれ以上ない素材です。あのコマ1枚で「このふたりの関係は主従じゃなく相互選択なんだ」っていう確認ができる、そういう精度の高さですよ。本当に課金する価値あります。就活サイト開く前にFANZA開く人生、悪くない😁。
同系統の恋愛BLと並べて考えると、本作の優位性ってボリュームを活かした「腰を据えた恋愛」という部分に尽きます。年下攻×年上受というテンプレ的な組み合わせですし、展開も正直ありがちなんですよ。初出会い、戸惑い、歩み寄り、告白、関係の深化——BL読んでる人なら「あ、この流れね」って感じ。ただし「ふたりが好きなら、その繰り返しが心地よく感じられる」というのが、この作品の強みなんです。テンプレを最高クオリティで実行した感じ。そういう意味では競合作品の中でも上位ですね。
一方で「奇抜な設定や展開を求めてる人」にとっては退屈かもしれません。新しい何かを期待してる人には不向き。あくまで「王道を極めた作品」なので。「年下攻め×年上受けの関係性を徹底的に追いたい」「初恋から深い恋愛への移行プロセスを時間をかけて見たい」という人には迷わず即買いです。483ページというボリュームで、このクオリティなら価格相応かそれ以上の満足度が得られる。ただし冒頭で期待値が上がるだけに、中盤のちょっとした失速で「あ、無常だな」と感じる人はいるかもしれません。それでも終盤で取り戻せるんですけど、テンポ重視の人にとっては若干引っかかるかな。
結論から言うと、同ジャンルで「安定感」を最優先にしてる人には強くお勧めできる一冊です。「定番を外さず、丁寧で高クオリティな恋愛が読みたい」なら、迷わず買っていい。逆に「毎回新しい刺激が欲しい」という人は、他の作家さんの新作を試してから判断してもいいレベル。でもこのカップルが好みならば、中盤の展開なんか気にならなくなります。私がそう(ニートだから回数買いできます😁)。【買い】
作家: まさき茉生
ジャンル:
単行本









