【R18版】 ケダモノ彼氏はご遠慮ください

BL単行本
【R18版】 ケダモノ彼氏はご遠慮ください 【電子限定おまけ付き】
総合 ★2.8 / 5.0|ケダモノ・グループ感の説得力度 |終盤の不安要素の拾い上げ度

正直に申し上げると、でん蔵さんにしては珍しく肩透かしを喰らった作品です。期待値が高かっただけに、読み終わった時の喪失感が思いのほか大きくて、ちょっと困ってます😂

ストーリーの枠組み自体は王道です。高校時代に敬遠していたクラスメイト・大賀美蒼との同窓会での再会→強引なキス→告白→流されるようにデート・セックス・関係継続という流れ。ここだけ見れば「安定の出来」で済むんですけど、問題はその過程にあるんですよ。主人公・優真がずっと「何か違う」という違和感を抱えたまま関係が進んでいく。その心理的な揺らぎが、こちらは何か深い理由があるんだろうと期待しながら読み進めるわけです。敬遠していた相手からの急な好意、急速に進む関係、本当にこの人を好きなのか流されているだけじゃないか…こういった心理的な葛藤って、本来ならドラマになるはずなんですよ。でん蔵さんならできるはずだった。

でも読み終わると気づくんです。その違和感が、ちゃんと回収されていない。あるいは回収されるんだけど、期待していた深さまで掘り下げられていない。優真というキャラクターの内面がもっとちゃんと描かれていれば、「強引で情熱的な攻めに押し切られる不安定な受け」という構図ももっと説得力を持つはずなのに、行動理由が「流された」「なんか違う感じがする」で停止してる。心理描写が…弱い、というか(就活対策より優先度の低い案件みたいに流されてる……)。

大賀美というキャラも同様です。年下の情熱的な攻めという一パターンで終わってて、初期の「敬遠されていた理由」みたいな設定が活かされていないのが惜しい。ここにもっと複雑さがあったら、二人の関係性の問題も層が増すと思うんですよ。たとえば「強気な外面の裏にある執着」とか「敬遠されていた時代の心理的コンプレックス」とか、そういった深掘りがあれば全く違う作品になるはずなのに。

エロシーンそのものについては、丁寧に描かれています。感情の延長として機能している部分もあります。ページ数の割にストーリーが薄く感じるのは、このあたりのバランスが原因かもしれません。201ページあるのに、焦点がぼやけてるというか。「エロシーンは上手いけど、その前後の関係性の描き方が曖昧」という印象を避けられない。でん蔵さんの過去作品は、キャラの揺れ動く過程をもっと丁寧に描いていたはずなんですけど。

ここからが正直なところなんですが、サンプルで示される期待値と本編の内容にギャップがあります。「敬遠していた相手との複雑な再会」という設定から、心理的な深さのある関係性の話だと期待するじゃないですか。それなのに本編では「気づいたら好きになってた、でいいのか?」という解像度で終わってしまう。サンプルに後押しされて購入すると、確実に期待値と現実のズレで後悔します(悲しい😂)。

購入判断としては、正直なところターゲットが限定されます。年下攻め・強引で情熱的なタイプが好物という方なら、大賀美というキャラは合う可能性があります。でも「年下攻めだけど心理的な深さがある子」を求めている、あるいは「受けの不安を受け止めるストーリー」を期待している人は、確実に後悔します。そっちの期待は完全に裏切られるので。受け側の心理描写に期待して買うと、ほぼ確実に「あ、これ期待値ほどじゃないんだ」という落胆が待っています。

同じ金額を出すなら、でん蔵さんの他作品を再読する方が精神的な満足度は圧倒的に高いです。あるいは他社の同価格帯のR18単行本で、ストーリーと心理描写の両立に成功している作品の方が、確実に費用対効果は良い。セール価格で手を出すならまだしも、通常価格では見送りの方が無難です。予算に余裕があるなら、選択肢には入らない作品ですね。

【見送り推奨】

作家: でん蔵

ジャンル:
単行本

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