総集編というのはガチャみたいなもんで、全部が全部当たりな訳じゃないんですけど、これはちょうどいい塩梅で「ハズレなし」という感じでしたね。393ページというボリュームの中に何が詰まってるかで、推しの沼度が大きく変わる構成になってます。
**バリエーション豊かだけど、構成に偏りあり**
本編は主に2024年の作品を集めたもので、短編からシリーズものまで幅広いラインナップです。冒頭の「イケメン彼氏シリーズ」は麻薬密売人×探偵、部下×既婚者上司といった大人っぽい関係性が特徴。このあたりは設定で引き出す緊張感がちゃんと利いているんですよ。続く「ホテルオーナー×地味警備員」あたりまでは短編ながらも相手を好きになる過程が見える。「老人×ベテラン庭師」みたいな渋いカップリングもあって、年齢幅が広いのは好評価。「悪霊×祓い屋」のファンタジー要素もあったり、とにかく飽きさせない構成になってます。
ただ、全体の50%以上が「強気な軍人シリーズ」(199ページ分!)に占められているという点が、正直なところ判断を分ける要因になると思うんです。このシリーズが推しなら最高の総集編ですけど、色々試したい派にとっては「せっかくのバリエーションが、この軍人に潰されてる感」が生まれる可能性が高い。星谷京の作品って基本的に攻めの”強さ”が特徴なんですけど、この総集編はその攻めへの執着度がモロに出ちゃってる構成ですね。つまり、作家自身が「この攻めキャラに一番情熱をぶちこんでる」ということが、購入者に筒抜けになる。それが好みなら沼ですけど、「色んな攻めを試したい」という目的だと、ちょっと目的外になる可能性があります。
**短編で刺さるポイントと、サンプルじゃ分からない要素**
短編の掘り出し物感は、実は最初の数ページの設定提示にあるんですよ。限られたページ数で「なぜこの二人が?」という違和感や引力をうまく作れてるシーンが挟まってる作品は、読み返したくなります。特に「部下×既婚者上司」のやつは、ビジネスパーソンとしての上司と、恋愛対象としての上司の揺らぎが表情で描き分けられてて本当に良かった。
ここが総集編の面白さなんですけど、サンプルだけだと短編のエッセンスしか見えないんです。フル購入すると各短編の「え、これ攻めなの?」「あ、このパターンなんだ」みたいな関係性の逆転や予想外の展開が全部体験できるんですよ。まさに掘り出し物を探す楽しさ。そこが短編集として機能している理由で、「星谷京の2024年、どんなの描いてたんだ?」という興味深さがある。エロの濃度は星谷京らしく濃いですけど、短編故に「感情をエロに乗せる」という点では、長編ほどは完全には叶わない。駆け足感は否めません。
**他の総集編との比較:作家の個性が強すぎる構成**
同ジャンルの攻め強気BL総集編と比べると、この作品の特徴は「全部のキャラの強さが一貫してる」という点ですね。弱みを見せる攻めもいるけど、根本的な強気っぷりは揺らがない。つまり、「バランス型」の短編集ではなく「この作家のお気に入り攻めキャラを集めた短編集」という側面が強い。他の総集編なら複数作家の作品をミックスして「様々な攻めを一度に体験できる」という売り方をしてるけど、星谷京のこれは「この作家のツボを全部見せます」というスタンス。だから購入判断は「星谷京のこういう攻めキャラが好き」という前提があるかないかで大きく変わります。
価格は総ページ数と作家の知名度を考えると妥当な範囲です。ただ、コスパを考えるなら「軍人シリーズだけで一冊成立しそう」という点が、ちょっと引っかかる。つまり、他の短編を求めてる人にしてみたら、軍人シリーズは「厚みがある分、いるのかいらないのか判断しづらい」という状態になるわけです。
**購入判定:三者三様の結論**
正直に言うと、この総集編の価値は「軍人シリーズへの執着度」で決まります。
「攻めの強気っぷりが好き」「攻めに揺らぎがない関係性を求める」「とにかく星谷京のこのキャラが推し」という人なら、迷わず【買い】。むしろ軍人シリーズだけでも元が取れます。
「短編をいろいろ試したい」「作品のバリエーション重視」という派は、【条件付き】で購入を検討。短編の掘り出し物感は確実にあるし、読み返す価値もあります。ただ、軍人シリーズが自分の好みに引っかからないなら、別の短編集に手を出した方が満足度は高いかもしれません。
「攻めも受けも対等な関係性を求める派」「もっとバラエティ豊かな総集編が欲しい派」なら、【見送り推奨】。同じ予算で星谷京の長編シリーズを買うか、複数作家の短編ミックス総集編を探った方が、沼度は高いと思います。短編好きは買い。軍人シリーズ推しなら絶対買い。バランス重視なら別を当たった方が無難です。
作家: 星谷京
ジャンル:
単行本









