—
エリートな受けが王子様みたいな攻めに調教される話。設定だけで「あ、これ好きなやつだ」ってなりました。力関係の逆転ってこれ以上ない調味料で、実際にめちゃくちゃうまく機能してるんですよ。
前提として、この受けはバリバリのエリート。仕事では勝者で、判断力あって、自分に自信がある。その人が相手をすごく警戒してるのに、攻めは完全にそれを見抜いてて。「オレはお前が思ってるより上」みたいなのを徐々に証明していくんですけど、その過程での心理描写がいちいち秀逸。受けが「あ、この人は違う」って気づくコマとか、攻めが少し強引なのに受けが従う時の迷い顔とか。作画は線がきっちりしてて、表情の移ろいが丹念に描き分けられてます。特に目と口元。あの二点だけで全てが伝わる感じ。
内藤さふぁりの過去作と比べると、今作は「関係性の構築」に重きを置いてるなって印象ですね。以前の単行本とくらべるとエロも程よい配分で、ただのポルノじゃなくて「支配される快感」「信頼した上での解放」が基軸になってる。ちゃんとしたストーリー軸があるから、読んでて「推しカプこの先どうなるんだろう」って引っ張られます。その感覚、人生数年ぶりです😂(就活の心配より優先順位高いのはニートだから許してください)
ここからが本当の沼なんですけど、サンプルだと前半の「警戒心を持った受けが攻めに会う」ところまでしか見えません。本領発揮は中盤の「受けが自分の感情に気づくシーン」からなんですよ。これまで相手を完全にコントロールしてた側の人間が、初めて「自分が支配されたい」って欲望に気づく時の揺らぎ方。その葛藤がめちゃくちゃ丁寧で、後半のベッドシーン(複数あります)がちゃんと心の動きの延長になってる。サンプルだけ見ると「エロ漫画か」で終わるんですけど、全編読むと「あ、これ心理サスペンスだ」って感じになります。
「支配される受け」のテーマはそこそこ出てますけど、「元エリート」「徐々に支配される」「内面の葛藤を重視」この3点揃ってる作品はそんなに多くないんですよ。大体は「そもそも従順なキャラが支配される」か「力関係が最初から固定済み」パターン。でもこれは「本来は独立心強い受けが、この相手だからこそ支配されたいって認識する」って流れで、説得力が全く次元が違う。攻めも「相手を完全に見抜いてる」だけじゃなく「相手を壊したい、支配したい」って欲望が途中から浮き上がってくるし、綺麗ごとじゃない二人の利害が一致する感じが堪らないです。
ボリュームは189ページ+電子限定かきおろしで、この価格帯なら十分な内容量。「支配関係が好き」「エリートが崩れるの好き」「心理描写重視派」この辺に引っかかるなら【買い】です。ただし条件があって、「年下攻め特有の甘さを求めてる」人にはこのシリーズの王子様は甘いだけではなく冷徹な部分が強いので、多分合いません。あと全編通して「このカップリングが好きになれるか」が全てなんですよ。設定は好きだけど、二人のケミに乗れるかどうかで評価は分かれます。自分は5回読み直すくらいには乗ってしまったんですけど、それは完全に好みの問題ですね😁
作家: 内藤さふぁり
ジャンル:
単行本 恋愛





