特濃!!搾乳牧場ラブメイク★カウ[成人向・棒線修正版]

BL単行本
特濃!!搾乳牧場ラブメイク★カウ[成人向・棒線修正版]
総合 ★2.3 / 5.0|設定の奇抜さ度 |BLとしての説得力度

これは…合いませんでした。タイトルの時点で「特濃」「搾乳」「カウ」という明らかにフェティッシュなワード組みに警戒してたんですけど、その警戒が見事に的中した感じです😂

設定の大胆さには素直に評価できます。「感じるほど美味しいミルク」「人型乳牛」というオタク的な創意工夫は、ニッチ層に向けた確かな執念を感じるんですよ。ダイチという一人牧場の青年がソラという逃げ出したラブカウを拾う、という基本設定自体は「保護者と被保護者から始まるラブストーリー」という王道の枠組み。そこに「家畜との関係は協会からペナルティ」という禁止事項を設定する構成も、葛藤を作るための手法としちゃあ悪くない。

ただね。そこまで至るまでの心情描写が、ほんと薄いんです。

ダイチがソラに「可愛さ」から「欲望」へ目覚めていくプロセスが、あらすじの時点で既に完結してんのよ。本来なら「面倒を見る対象」から「異性として意識する存在」へと感情が揺らいでいく段階が、最高に書き甲斐あるはずなのに、その全部スキップされて「毎日悶々としてます」で話が始まってる。64ページというボリュームで既に省力化されてると、もう「動機が弱い」としか見えないんですよ。就活より真剣に「この二人の気持ちの流れどこだよ」って探すレベルです(笑い事じゃないですけど)😂

比較の話になるんですけど、「生き物との関係性」を扱う他のファンタジーBLだと、この手の題材にどう向き合ってるかっていうと…。例えばドラゴン飼育モノとか獣人系の作品なら、「相手を生き物として認識する自分」と「恋愛対象として認識する自分」のズレや葛藤を、すごく丁寧に掘り下げてるんです。キャラが揺らぐ様子を細かく描いてる。その点、この作品は心理の解像度がめちゃくちゃ低い。設定が凝ってるぶん、むしろ二人の感情線が薄くなっちゃった印象を受けるんですよ。設定と心理が両立してない。

エロシーンも同じです。「禁じられた対象との行為」という題材に、本来なら相当な感情的な重みがあるはずなんですけど、この作品のベッドシーン見てると「テーマありきのポルノ感」が強いんです。ただ脱がせてるだけというか。本当に沼るエロって、二人の感情の変化や関係性の深まりがセックスシーンに全部反映されてるんですけど、そういう「二人の絆がセックスで確認される感」が全然読み取れない。設定は使ってるけど、感情は使ってない、みたいな(…冷静に書きます)。

64ページという限られたボリュームの話をするなら、同じ価格帯で読めるBLって、関係性がもっとしっかり詰まった作品ばっかなんですよ。新人作家でもアマチュアでも「短編だからこそ濃密な二人」を絞り出してる秀作、山ほどあります。本作はそれらと比べると、設定の目新しさ=「あ、こういうのあるんだ」という興味は引くんです。でも「この二人だから沼る」「このシーン何度も読み返したい」という、BLとしての推進力に欠けてる。

ぶっちゃけ、同ジャンル比較だと苦しいんですよ。ケモノ要素や飼育モチーフ、その手の設定だけで興奮できる層には、確実に需要ある作品だと思う。設定フェチはそれで満足できるんでしょう。ただし「二人の心情の変化を丁寧に追いたい」「感情の流れが読み取れるエロが好き」「短編でも心理の深さで泣きたい」みたいなBL好きからすると、設定の奇抜さが心理描写の簡素化を招いてんじゃないかって見えちゃう。素材は悪くないんですけど、このボリュームなら「設定も心理も両方やってくれよ」と思っちゃう(ニート特有の贅沢要求ですね😁)。同じ金額出すなら、もっと二人の関係が濃く描かれた作品、この価格帯に絶対あります。

【見送り推奨】設定フェチでない限り、同価格帯でもっと心情の流れが丁寧な作品を選んだほうが沼に落ちる確率高いです。「ケモノ×飼育」という設定そのものが好きな人なら買って損はないと思いますが、BLの相性や感情的説得力を重視する身からすると、課金ポイントが見当たりませんでした。

作家: 哉ヰ子

ジャンル:
単行本 ラブコメ

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