暴いて、その目で【18禁コミックス版】

BL単行本
暴いて、その目で【18禁16P小冊子】
総合 ★4.7 / 5.0|目線から零れる本気度 |受けの覚悟を試す攻めのしたたかさ

いや、これです。これですよ。16ページでこの沼の深さは反則級😂。冷静に評価するって決めてたのに、3行でその決意がぽっきり折れました。

八重咲らいの描く心理戦、本当にヤバい。タイトルの「その目で」って四文字に全部が凝縮されてるんですよ。攻めがどれほどのしたたかさで受けを射抜いてるのか、受けがその視線にどれほど揺らぎまくってるのか、その微妙な心の揺らぎが16ページに詰め込まれてる。

見どころは何かって言うと、やっぱりコマ割りと視線の使い方。攻めが受けを見つめる角度が、ページを進むにつれて微妙に、でも確実に変わるんです。最初は上から見下ろす視線なのに、ラストに近づくにつれて……いや、これ以上ネタバレできないですけど、その視線の変化に受けが反応する相互作用が全部を物語ってる。サンプルだけ見たら「え、これだけ?」って思うかもしれません。でも本編を開いた瞬間、あの目の微妙な変化を見た瞬間、気づくんです。「ああ、こいつはこの人をこんなに見つめてたんだ」って。その気づきが何度も何度も来るから、最後のシーンでドンッと来るんですよ😂。

短編BLって玉石混交のジャンルじゃないですか。設定だけ凝ってて関係性がスッカスカな作品も多い。一方、無駄がなくて逆説的に濃密な作品も稀にある。これはもう確実に後者です。同じボリュームの心理戦系BLを数冊読んでた身からすると、多くの作品は「設定で引っ張る」か「エロで引っ張る」かのどちらかなんですけど、この作品は「感情線の変化で全部を引っ張ってる」。八重咲らいの他作品も好きですけど、この16ページは彼女の「感情を描く力」が最もシャープに研ぎ澄まされてる気がします。無駄がない。本当に無駄がない。

ここからが重要なんですけど、このエロシーンの組み込み方が天才的なんです。「暴く」という行為が、単なる肉体の露出じゃなくて、相手を心理的に暴く行為と完全に一体化してる。受けが攻めに自分を晒す覚悟と、攻めがそれを見つめる執念が重なった時のベッドシーン……(深呼吸します。12回読み返してるのになぜか毎回ドキドキします😂)。短編だからこそ、余計なストーリーがない。キャラの説明描写もない。だから、感情と肉体が直結するんです。長編を5冊読むより、この16ページから学べることの方が多いんじゃないかと思うレベル。

正直に言うと、画力や背景の凝り具合を求める人には物足りないと思う。線は荒めだし、背景もシンプル。でも、そのシンプルさが逆に「二人の表情」「二人の距離感」に全ての注目を集中させる。これが演出力なんですよ。目の描き分けが上手すぎて、セリフがほぼなくても二人の関係性の変化が手に取るように分かる。ニートで就活から逃げてる人間が言ってもアレですけど😁、本気で「大事なのは表現力であって画力じゃない」と思い知らされました。

最後に、買うべきか判定。攻めの執念と受けの覚悟の綱引きが好きな人は、迷わず買い。心理戦を恋愛に組み込む過程を見たい人は必読。短編だけど濃い、シンプルだけど深いエロを求めてる人には、これ以上ない逸品です。ただし「とにかく背景が豪華な作品がいい」「ストーリーラインの起承転結がしっかりしてないと」って人には向かないかもしれない。あくまで、二人の感情の変化を目で追う快感を知ってる人間向けの作品。その快感を知ってたら、このシンプルさと無駄のなさが最高の武器に思えるはず。価格帯も妥当です。むしろこの濃密さなら安い。

【買い】で、文句なし。今月のベストです🙏。

作家: 八重咲らい, アスティル編集部

ジャンル:
単行本

タイトルとURLをコピーしました