本当に4巻目まで来たんだ、この二人。感心しながら読みました。
『蜜果』シリーズの4巻は、二人の関係が既に確立されているからこその「続きを見たい」という欲求をちゃんと満たしてくれます。新しい展開や劇的な転機を期待すると肩透かしを食らうタイプの作品ですが、この段階で急展開なんか求めてる人は少ないはず。むしろ「付き合ってから年月が経った二人がどんな日常を送ってるのか」「関係性がどう熟成されたのか」という地味だけど深い沼ポイントが見どころです。
akabeko先生の画風は素朴で親しみやすいし、コマ割りのテンポも悪くない。ただ正直に言うと、202ページというボリュームの中で「盛り込むべき要素と省くべき要素」の選別が完全に成功しているかというと、そこまでではないなという印象。手堅いんですけど、革新的ではないんですよね。
序盤は前巻までの余韻をそのまま引きずった展開。この二人の関係が「恋愛」というより「生活の一部」「空気のような存在」になってるのが伝わってくるし、キャラの表情変化や会話のテンポに作家の手慣れ感がにじみ出てます。読み手としても「あ、この流れね」って予測しながら読み進める安心感がある。中盤以降は新しいトラブルより、既存の関係をより深掘りする方向に舵が切られていて、ここがこの巻の判断を分ける要素になるんですよ。
エロシーンは感情の延長として機能してて、単なる消費ポイントには成り下がってない。むしろ関係性を視覚的に表現する手段として機能してる点は、シリーズ継続BLの中でも好印象です。ただし全体的には「安定している」の一言に尽きます。冒険がない、攻め受の力関係に揺らぎが少ない、予想外の展開も控えめ。それが悪いわけではないんですけど、画面構成や構成力でもっとカバーできたんじゃないかなと感じました。(別にニートだからって手厳しいわけじゃなく、マジで感想です😁)
同作者の過去作と比較すると、『蜜果』はシリーズの熟成型。1〜2巻で築いた基盤を、3巻4巻でじっくり深掘りする戦略ですね。それ自体は筋が通ってるんですけど、問題は「シリーズが長くなるほど新規が入りづらくなる」というBL単行本の宿命に直面してること。特に長期シリーズは、ここまで読むなら1巻からの一気読みが前提になっちゃうんですよ。
【推しを刺さる瞬間はここ】
この巻で沼る部分は、中盤から後半にかけての「二人の距離が縮まる瞬間」です。サンプルだけだと掴みの部分しか分からないと思いますけど、全編を読むと序盤で何げなく挿入された日常的なやり取りが後半の重要シーンに繋がってくる構造になってる。その連続性が見えた時の「あ、これはちゃんと『物語』なんだ」って感覚ですね。たった数ページでも、それまでの積み重ねがあると説得力が全然違うんですよ。ここの構成力は流石だなって思いました。読み返し5回の大半がこのパートです(ニートなので時間は有り余ってます😂)。
同ジャンルのシリーズ継続BLと比較すると、『蜜果』4巻は「安定感と熟成度」という点では及第点。ただし「シリーズって中盤以降、実は失速するんじゃないか疑惑」を持ってる人なら、その懸念が当たる作品です。逆にラブコメ好きで既にシリーズを読んでる人なら「続きが気になる」で即購入でいい。このボリュームでこの価格設定なら悪くない買い物ですし。
ただし「4巻目だから義務で買う」という人は考え直してください。その時間と金があるなら、新作で新しい沼に沈む方が有意義かもしれません(就活より重大な判断ですね😁)。シリーズ1巻からの一気読み組には【買い】で確定。ここからの新規参入を検討してる人には【条件付き】。サンプルをちゃんと読んで「この空気感で数時間つぶせるか」を判断してからでいいと思います。既存ファン向けの安定盤です。
作家: akabeko
ジャンル:
単行本 ラブコメ








