こらしめ部屋、立チ入リヲ禁ズ。【R18コミックス版】

BL単行本
こらしめ部屋、立チ入リヲ禁ズ。【R18コミックス版】
総合 ★4.7 / 5.0|支配欲と被支配欲の同期度 |攻めの痛みに一緒に溺れる度

いや〜、何ですかこれ。マジで。三日連続で読み直してる😂

木陰コケコさんって、とにかくキャラクターの心理状態を絵だけで伝えるの天才なんですよ。セリフを徹底的に削いでるのに、コマの配置とキャラの視線の角度だけで「この二人の関係がどういう地点にあるのか」が手に取るようにわかるんです。特にこの作品は、一方が一方を支配し、もう一方がそれを受け入れるという明確な力関係があるんですけど、その力関係が序盤から終盤にかけてズルズルと揺らいでいく過程が、本当に丁寧に積み重ねられてる。セリフ少なめだからこそ、その内面の変化が表情と仕草だけで伝わってくるんですね。

ダーク系のSM作品って、大体「支配する側が気持ちよくて、支配される側がそれに従う」みたいな表面的な構図で完結することが多いじゃないですか。でもこの作品は違う。支配している側のキャラが、支配しているはずのもう一方によって、いつの間にか心をむしばまれていくんですよ。相手を屈服させることだけが快感だと思ってた攻めが、その快感の本質がなんなのかを段々と気づかされていく。その「気づき」が来る瞬間の表現が、もう……正直、一回お茶入れてきてもいいですか😂

ボリュームは212ページと一見あるんですけど、読んでると尺を感じさせないんですよね。これ話が単純だからじゃなくて、緊張感が常に張り詰めてるからなんですよ。攻めが何をするかわからない、受けがどう反応するかわからない、その関係がどこへ向かうのか見当つかない。その不確定性が212ページ全編を通して失速なく持続してる。正直ニートだから暇あるはずなのに、一気読みしちゃってる自分がいるんですよ。時間の概念を忘れた状態で没入してる。そういう吸引力です。

木陰コケコさんの他作品と比べても、これはちょっと別格だと感じます。他の作品も関係性の深掘りが秀逸なんですけど、ここまで「痛み」と「快感」の区別がつかなくなるような、心理的な支配と被支配のメカニズムを描き切った作品は珍しい。むしろこの作家さんの集大成かもしれない。

ストーリーの構成力も素晴らしくて、序盤で「攻めがなぜこんなに執着してるのか」という謎が立てられるんです。単なる支配欲じゃなくて、何か深い理由がある予感がする。その謎が後半に向かって徐々に明かされていくんですけど、明かされ方が露悪的じゃなくて、心理的な段階を踏んでるんですよ。読者も登場人物と一緒に、「あ、こういう理由だったのか」って腑に落ちるタイプの構成。そこが本当に上手い。

エロシーンの描き方も特筆もの。濃度だけ言えば結構ガッツリ系ですけど、ただ脱がせてるんじゃなくて、心理的な支配関係が常にベッドシーンの背景にあるんです。肉体的な接触が、そのまま心理的な支配と被支配に直結してる。感情と官能が完全に同期してる描写で、これが本当に。……書いてて胸が痛くなる😂

サンプルでは絶対に分からないんですけど、後半にかけて攻めが見せる「壊れかけた表情」のシークエンスね。あそこですよ。支配者だと思ってた人物が、実は同じくらい蝕まれてたんだっていう事実が、表情の微細な変化だけで伝わってくるんです。文字にすると陳腐なんですけど、あのコマ割りと背景の消し方、目の光の入れ方で、一ニート読者が鼻水垂らしながら読み直すことになってる(何回読み直してるんだ、自分)。サンプルにはそこまでの心理的な積み重ねが全く入ってないから、フルで読んで初めて理解できるんです。そこが本当に悔しい。

同ジャンルのSM・ダーク系BLと比較すると、「支配者のいない支配関係」という矛盾した状態を描いてる点で唯一無二だと思います。一見すると攻めが支配者で受けが被支配者という明確な上下関係があるんですけど、話が進むにつれて、実は受けも攻めを支配してるんじゃないかって疑問が生まれる。二人が相互に蝕み合ってるんですね。それって相当難しい構成なんですよ。読者は「攻めが受けをどこまで壊すのか」を期待して読み始めるんですけど、気がついたら「受けが攻めをどこまで壊してるのか」に目が離せなくなってる。その反転の説得力が完璧です。

M男属性が好きな人、心理的なSMに興味ある人、関係性の揺らぎを見たい人、そして「支配される側のキャラが本当は主導権握ってるんじゃないか」という倒錯を好む人は、正直これ一択に近いです。価格帯も考えると、この心理描写の深さと演出力で、むしろ掘り出し物としか言いようがない。ただし、純粋に「攻めが受けを蹂躙する快感」を求めてる人、攻め有利な支配関係が最後まで続く作品を望んでる人には、若干物足りないかもしれません。この作品は「蹂躙の快感の先にある陥落」を描いてるから。二人が完全に対等な地点に落ちていく過程を見守る覚悟が必要です。

とにかく今月のベスト確定。下手したら年間ベスト候補です。木陰コケコさんのことなら新作も追いかけていくつもり。ハロワ行く前にFANZA開く人生を続けるための、十分な理由がここにあります🙏

【買い】

作家: 木陰コケコ

ジャンル:
女性向け 単行本 恋愛 鬼畜 ダーク系 SM M男 アナルセックス

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