タイプ・エイド

単行本
タイプ・エイド
総合 ★3.8 / 5.0|機械を愛する度 |執着への自覚度

手に取ったときは「アンドロイドBLか。設定ネタっぽいな」くらいの気持ちだったんですけど、思った以上に関係性の変化をちゃんと追わせてくれる作品ですね。短編なのに、あの濃密さはちょっと反則です。

セクサロイドのテオが記憶喪失で天然ドジというテンプレ受けキャラ造形から入るんですが、ここからが面白い。瑛二は研究者として「興味の対象」としてテオを拾ったはずが、同棲していくうちに感情が揺さぶられていく流れが、段階的に見えるんですよ。単なる「かわいい受けだから落ちる」じゃなくて、「このセクサロイドが自分を指先で引き寄せるたびに、俺は実験室の掟を破ってしまう」みたいな、理性と欲望の綱引きが描かれてる。それにテオへの嫉妬が出てくる流れ—過去の「博士」という存在への妬き—ここで瑛二という男の執着が立ち上がってくるんです。29ページでこれだけ関係性の層を重ねてくるって、作家さんの腕がよく出てます。ただ、短編だからどうしても駆け足になる部分はあって、テオの心情描写がもう一声欲しかった感じはします。セクサロイドから「人間らしさ」を獲得していく過程を、もっと細かく見たかった。

市ヶ谷モルの作品は攻めの心理描写に定評があるんですが、これもそう。瑛二の「支配欲」が感情の進化形として説得力を持ってるんですね。ただ、2巻があるみたいなので、おそらくこれは序章的な位置づけかもしれません。

セクサロイド設定を言い訳にしてない、感情の機微を丁寧に描いた1冊。設定で喜ぶだけじゃなく、関係性の深さを求めてる人には響くと思います。ニートが語ってもあんまり説得力ないですけど、これは続きが気になるタイプですね😂

作家: 市ヶ谷モル

ジャンル:
単行本 女性向け

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