「感度チート」という設定は面白いのに、肝心の二人の関係性がそこまで進展してないのが、正直がっかりです。シリーズ3巻目という段階だからこそ期待していただけに、辛口になります。申し訳ない。
主人公が乙女ゲーの悪役令息キャラに転生して、ヒロイン役を「攻略」していく——このコンセプト自体はいいんですよ。ゲーム的な目標設定があることで、ストーリーの指針が明確だし、やられる側の葛藤も描きようがある。でも、この3巻では「攻略ゲーム」という枠組みに逃げてるように見えました。セックスシーンはそこそこ詰め込まれてるんですが、感度がチートなだけで、二人の感情の絡み合いが薄い。相手を快感で支配する一方的な展開になってて、相手の意志や心の動きが見えてこない。29ページという短さもあるんでしょう。だからこそ「このページ数で何を優先するのか」が問われてくるんですが、そこで選択肢を外してる印象。
1巻2巻を読んでた身としては、明らかに劣化を感じる。あの頃は設定の面白さとキャラの小さな表情の変化——攻めが意図しない瞬間に見せる迷いとか、受けの目線の揺らぎとか、そういう繊細さで魅せてくれてた。それが3巻になると「チート能力で相手を堕とす」という力技に比重が移ってる。本来ならこの設定、心理的な支配とか感情のゆがみとか、心理戦の領域まで拾える素材なんです。むしろそっちのほうがよっぽどエロいのに、なんでやらないんだろう…という歯がゆさ(私がニートで時間あるのに就活やらないのと同じレベルの「目の前にある沼を見て見ぬふり」感😂)。
「乙女ゲー転生攻略モノ」をざっくり消費する層なら及第点。ただ、同価格帯で「ゲーム的な設定を恋愛に深く活かしてる」作品は存在するんですよ。攻略という概念そのものに揺らぎが生まれる瞬間がある作品とか、相手が堕ちるプロセスで二人の力関係が逆転する作品とか。そういう作品を読んだ後だと、この3巻は「主人公が有利」という構図から始まって終わるまでずっと有利なまま。相手の心の動きより「既に堕ちた状態」を描くことに終始してるから、余韻が弱いんです。短編だとより顕著。終わり方がどこか疲れたような、「やることやったな」感で終わる。
正直、サンプルで充分かもしれません。29ページなので、サンプルで2、3ページ見れば大体の方向性は掴める。フルで買う理由を強いて言うなら「シリーズを追ってて続きが気になる」くらい。新規で飛び込むなら、この3巻より前作の1巻か2巻をお勧めします。あそこなら、ゲーム的な設定と感情の拮抗がちゃんと両立してた。エロの「量より質」を求める人間の意見ですが(ニートはリソース配分厳しいんで😁)、29ページを何度も読み返したいと思わせるものが、今回はない。
ファンタジー設定とエロの相性で言うと、この3巻は上手くいってないですね。素材(設定)と表現(心理描写)が別々に動いてる感じ。短編という制約の中で、本来なら「設定をどう感情と結びつけるか」が腕の見せどころなのに、そこをすっ飛ばしてる。価格がセール中なら「お試し気分で」もありかもですけど、通常価格なら同じ金額でシリーズの前作を読み直すか、「ゲーム要素を恋愛にちゃんと活かしてる」別の作品に回したほうが絶対にいい。シリーズの初期の輝きが失われてるのは、このジャンルではもったいなすぎます。
【見送り推奨】。シリーズ追い人で「続きが気になってしょうがない」なら条件付きで買いもありですが、これ単体で見ると、設定の面白さを活かしきってない短編。娯楽費にシビアな人間からすると、他に使い道がある。
作家: シカナリ
ジャンル:
ファンタジー 単話 中出し アナル






